皆様こんにちは。大庭です。
夏の甲子園、いよいよ大詰めが近付いて来ております。
ベスト8に東西東京代表が勝ち残り、私の地元である神奈川代表の東海大相模も先ほど、
ベスト4入りを見事サヨナラで決めました。
猛暑の中日々激闘を繰り広げる球児たち。
夢にまで見た甲子園で汗と涙で白球を追う姿には毎回感動させられます…が、しかし。
中にはそうでもない球児もいるらしいです。
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もうずいぶん前に、元高校球児で一度だけ夏の甲子園に出た事があると言う後輩から聞いた話です。
彼の高校は、某県有数の進学校。
野球部はあるにはあるが、甲子園など雲の上のそのまた遥か上、宇宙の彼方のような存在でした。
しかし、彼が3年生の時、本人曰く「たまたまラッキーと、勢いで」県大会をトントン拍子に勝ち進み、
ついには優勝⇒甲子園大会に出場する事になりました。
さあここで、普通なら学校上げて大喜び!!-と思いきや、みな頭を抱えたのだそうです。
「なんで甲子園なんかに出ちゃうんだよ!!」
「どうするんだよ、今年の夏季講習!!」
と非難轟々。つまり、3年生はみな一流大学を目指しているので、夏休みに野球なんてやっている暇はないのです。
野球部以外の生徒も事情は同じで、貴重な夏に甲子園くんだりまで応援に行くなど、時間の無駄以外の何物でもない。
という訳で、「出るのはいいが、なりべく早く負けるように」という、無言の圧力の中で甲子園に向かったそうです。
さて、1回戦。
何しろ、早く負けないと周りから何を言われるか判らない。
でもまあ、対戦相手は優勝候補の一角だし、勝つ訳もないか…と、安心して?試合に臨みました。
しかし、神のイタズラか無欲のおかげか、大金星をあげてしまった…。
「ごめんなさい、ごめんなさい、次は大丈夫、絶対負けますから!!」
と頭下げ下げの2回戦…も、勝っちゃった。
そして、いよいよ3回戦。
今度こそ負けなければ!! とのプレッシャーの中、よせばいいのに先制点を取ってしまい、
しかも相手は全然打ってくれずに、1点リードのまま9回裏まで来てしまいました。
ここにきてようやく相手方が反撃を開始してくれ、ツーアウト満塁。
サヨナラ負けのチャンス…いや、ピンチです。
マウンド上に集まるナイン。
テレビでは「この大ピンチに、皆でピッチャーを盛り立てます!!」とか何とか言っていたらしいのですが、
ホントの所はこんな感じだったそうです。
「おい、オマエ、絶対打たせろよ!!」
「う、うん。わかってるよ」
「打てなさそうなら、フォアボール出せ、フォアボール」
「う、うん。そうだな」
祈るスタンド、祈るベンチ、祈るナイン。
皆の願いはただ一つ。
「相手のバッターよ、打ってくれ!!」
―願いが天に通じたのか、次の球を見事にバッターが打ち返してくれ、サヨナラ負けを喫したそうです。
「負けたとはいえ、なんと清々しい笑顔なのでしょう!!」
甲子園のベンチから引き上げる彼らに、TVのアナウンサーは感動のコメントを発したそうです。
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さて、今年の熱闘甲子園も残り僅かです。
球史に残る名勝負を期待しましょう!!